【実録48時間!】年越しバーチャルyoutuber制作タイムアタックレポ

えぇい、やるぞ、やっちゃるのだ!!

『やらなければ…はじまらない!!!』
いや、やらずに2017年を終えるわけにはいかんのだ!!


そんなことを絶叫し、さぎょいぷの相手には冗談だと誤解され笑われながらも私はカウンターを起動した。

 

…そして長い48時間が始まった。

 

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1.記事概要

【概要】

 

バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんことねこます(@Nek0Masu)さんがオススメするVRChat用アバターを作り、完成までのタイムアタックのプレイレポ。

タイムアタックのルール】

  1. VRChatに読み込み可能な3Dモデル(2万ポリ上限)を制作し、作業時間を計測
  2. やらなければ、はじまらないの精神を優先

    (出来るだけ短時間で完成させる(VRChatをはじめる)>>>クオリティの重視)

  3. 作業の様子全てをYoutubeLiveで配信する。

  4. 作業中、使っていいコンビニはセブンイレブン(家から遠い)のみ

     

【プロフィール】

 挑戦者:私(月見ねぎとろ@tukimi_negitoro
 職業 :無名の漫画家、3Dモデラー、アニメーター
       (漫画業だけでは食えないので依頼があればなんでもやる)
 3D歴 :中学生~(10年くらい?)
 Blender歴:3年くらい
 Unity歴 :過去にインストールしただけで放置。
 VRchat :スタート時未インストール。仕様も知らない。
 VR環境 :なし
 備考   :重度のケモナー/けもみみ好き

 

【PCスペック】 

 OS :Windows10 Home
 CPU:core i7-6700 3.4GHz
 メモリ:16GB
 グラボ:GTX 750Ti

 

【使用ソフト】

  Adobe Flash CS4
  Adobe PhotoShop CS5
  SAI2
  Blender (2.78c)

【実施期間】

12/31 17:00 ~ 1/4 1:30

※最初はRTSのつもりで始めましたが、諸事情で途中で作業中断せざるを得なくなり、実作業時間の合計の計測となっています。

 

2.なんでそんなことやったの? 

絶対安静。
私の2017年は
家から一歩も外に出れない状態で始まった。

 

あるゲーム会社での仕事がスタッフの失踪によってブラック化し、
数か月、粘りに粘った末、過労で倒れて一切の仕事ができなくなったのだ。

 

倒れる直前、私はとっさにつかんだマウスでMAYAのマーキングメニューを開き素体モデルのアトリビュートを自分に転送しようとした。ボーンのウェイトを直し、自分のポーズを初期化しようとしたのだ。(※1)

 

夏ごろ、ようやくまた仕事ができる程度に回復し、在宅で広告用のマンガとかの仕事を始めたが、
ブラックワークのトラウマはすさまじく、
私は3Dの仕事をすることなく2017年を終わろうとしていた。

 

 

…そんなある日、バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんと出会った。

 

 

www.youtube.com

 

一目ぼれであった。

 

「カメラはカメラですGameObjectではありません」という技術屋にしか通じないことをわざわざ説明してしまうところにすごく親近感を覚えた。

わかる!技術ヲタクというやつは、そこを言っておかないとなんかむずがゆくて仕方がないのだ!!わかる!!

おじさんは今、技術をいじり倒すことが楽しくて仕方がないのだ!!伝わってくる!!

わかる!!


かわいい!!

かわいいぞ!!
バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん!!!!

 

 

…これは、全力で応援するしかない!!

 

人生初の推しアイドル(?)誕生の瞬間である。

おじさんのチャンネル登録を済ませそれからというもの、動画が投稿される毎にRTする。

 

 

そんな1ファンの引用RTにすら即レス!

 

このアイドル、神対応かよ!!!

 

何を隠そう私はテライユキ直撃世代である。(※2)

初音ミク以前からバーチャル的な新しい物をみると何かアイドル的な神秘性に心ときめいてしまう性癖歪曲英才教育を受けたCGオタク第一世代である。

 

いや、自分では今の今まで気が付かなかったけれど、

私は20年も前からバーチャルアイドルオタクだったのだ!!

 

もうこうなったら3Dっぽいものを見るとひきつけを起こすとかどうだっていい!キズナアイもミライアカリもシロもみんなかわいい!最高かよ!(※3)

 

私!バーチャルアイドル(Youtuber)ヲタクになります!!

 

もちろん一番の推しはバーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん!

知り合いという知り合いにバーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんを布教する私!

うれしい事にその後も技術ヲタの心をつかむおじさんの芸風は相変わらずだった。

 

 

…しかし。ここで大事件が起きる。

 

nyalra.hatenablog.com

 

バズった。

 

200人しかいなかったyoutubeチャンネルはたった一晩で1万人越え

 

twitterのTLはファンアートと「世知辛いのじゃー」というトレンドワードで埋め尽くされ、バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんは一気に雲の上のYoutuberになってしまわれた。

 

なるほどな。

 

推しアイドルが武道館に行ってしまったときの嬉しさと寂しさとはこういうものか。

 

 

一応私も絵描きの端くれ、ファンアートでも描きまくりたいのは山々だったのだが、時はすでに年末。身動きが取れなくなっていた。

 

絵描きの年末というのは地獄である。
当然ながら広告会社や印刷所は年末年始休みに入る。
そのためバレンタインぐらいまでのチラシを年内に作っておく必要があり、広告担当者はクリスマス商戦から休みなく御用納めのそのギリギリまで外注の絵描きへの発注やリテイク、仕様変更を出し続ける。ありがたくも悲しいかなその発注先の末席にいるのが私である。(※4)

みんなが楽しそうに世知辛いのじゃーを連呼してる最中、
本当に世知辛すぎてその輪に加われない世知辛さを思い知る。

 

もっとも、そんな絵描きというのは私だけではなかったらしい。
楽しみながら「世知辛いのじゃー」と言う声だけではない。年末という瘴気に毒され、
twitterにいるモデラーさん達も徐々に毒づき始める。

 

「バーチャルyoutuberが流行って、参入したい人がモデルを無料とか数万で作ってくださいなんて言ってくる。世知辛いのじゃー」

「あの程度のモデルなら大したことない、すぐできそう」

「軽はずみにやっちゃう人がー…価格崩壊がー…世知辛いのじゃー」

 「一過性のブームでうんぬんかんぬん…世知辛いのじゃー」

 

いつの間にかそんな世知辛い話ばかりでTLは埋め尽くされた。

一見するとまともな意見のようで、その実「バーチャルyoutuberのモデル」という分母が大きすぎる。無料でというのはさすがに無理だとしても、キズナアイとミライアカリでさえポリゴン数や仕様に差があり過ぎて予算が違い過ぎる。

プロならポリゴン数や工期などを決めたうえでの見積もりを建てねば言及すべきでない話題だ。

主語もマックにいたJK並みにあやふやだし、全くもってただの愚痴以外の中身がない。

てか、おじさんのモデルが大したことないとかすぐできそうとか言った奴、絶対モデリングエアプ勢だろ…

 

まあ、モデラーさんもゲームの季節イベント用のモデルとかで年末進行は地獄ですし…私それで倒れたし…3Dプリンターみたいな一過性のブームでひどい目にあった人もいっぱいいるし…私それで幼児退行したし…

 

 

実際、絵描きやモデラーの年末というのは世知辛い

皆、冬に仕事を辞めていく。

 

私も今年、30日まで追加発注があって結局実家に帰れなかった。

 

愚痴りたいのは解る。

 

 

 

世知辛い……。

 

 

 

…でも、私にとっての…バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんは…

 

私にとってのバーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんは断じて「世知辛いのじゃー」の人なんかじゃない!

 

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私にとってのバーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんは世知辛さに屈することなく技術をいじり倒すことを楽しんでいたからこそ輝いていたのだ!

 

現に、世知辛さを吐露するモデラーたちを尻目に技術的な質問にリプを返しまくり、VRChatとけもみみのすばらしさを世に広めようとしていた!

 

その懸命な姿が、

半生をささげた3Dいじりがトラウマになってしまい、半ばその道をドロップアウトしていた私に勇気と元気をくれた!

 

ただ意味もなく、楽しいという理由だけで3Dをいじり倒せた中学生時代を思い起こさせてくれた!

 

チャンネル登録者数一桁の時から全く変わらず輝く満面の無表情が、そこにあった!!

 

 

そう、私がすべきは、モデラーたちと一緒に世知辛さに毒づくことなどではない!

2017年、12月31日。既に数日ろくに寝ていないという過酷なデスマーチを超え、納品物をクライアントに送信し終えて、トランス状態になった私は自分の使命というものを完全に理解した。

 

けもみみ帝国の野望を…!

けもみみのVRアバターを…!


けもみみ帝国をつくるのじゃあー!!

 

えぇい、やるぞ、やっちゃるのだ!!

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いや、やらずに2017年を終えるわけにはいかんのだ!!


そんなことを絶叫し、さぎょいぷの相手には冗談だと誤解され笑われながらも私はカウンターを起動した。

 

…そして長い48時間が始まった。

 

 [技術的補足]

やっとかないと落ち着かないので補足しておきます。この部分は読み飛ばしてください。

(※1)
MAYA …ゲーム業界で普及している3DCGソフトウェア。めっちゃ高価。
マーキングメニュー…MAYA特有のインターフェイスマウスジェスチャ系。MAYAの中ボタンクリック偏重な操作系と合わせて光の速さでユーザの腱鞘炎を悪化させる。
アトリビュート…ここでは各ポリゴンが持っている情報の事。ここではウェイト設定を指す。
ボーンウェイト…キャラクターを動かすための骨(ボーン)に対する追従率の設定。

(※2)
テライユキ…1998年頃3Dソフトウェアshadeのイメージキャラクターとして採用される。設定上は未来から来た2017年生まれのアイドルであり、きしくも2017年がバーチャルyoutuber元年というべき年になったことは非常に胸熱。

(※3)
輝夜月ちゃんの参入は時系列的にこの後になる。輝夜月ちゃんめっちゃ好き。

(※4)
業界用語で年末進行という。10月末のハロウィン用素材の制作が始まるのが9月、そこから年末までノンストップになりがち。ここに最近はブラックマンデーセールという新たな仲間が加わった。冬コミの落選通知に安心する絵描きは少なくない。

 

 

 

3.タイムアタックの開始

目標の明確化

と、言うわけで。まずは作るものを明確にした。
みんなが「バーチャルyoutuber」だとか大きな分母で呼んでるモデルの仕様を決めるのだ。

これはすぐに決まった。ねこますさんが推奨しているVRChatに読み込める仕様のけもみみのアバターにして、これをVRChat上に読み込むことをゴールにしようと考えた。

この時点で、VRChatの上限は2万ポリゴン程度らしいという前情報を耳にしていたので、それならばなんとか短期集中で製作可能であろうという目算もあった。


続いて、自分を追い込むために制作の様子をすべて配信することにした。誰も視聴者がいなかろうが、作業中ずっと配信を続けるというルールだ。
ニコ生を使った方が盛り上がる気もしたが、申し訳程度のYoutuber要素として配信にはYoutubeLiveを選んだ。結果的にこれは画質面で大正解だった。(後から遡ってスクリーンショットが取れたので、このレポートが充実した)

 

ただし、配信するからと言って、自分がねこますさんに便乗してバーチャルYoutuberになりたいとか、有名になりたいとか、断じてそういう話では無い
だから、アバターを作れば何かお金が入るとか、何ができるようになるとかいう話でもない。

 

強いて言うならば、配信することでバーチャルけもみみyoutuberは実際に作れるものであることを人に見せたり、共有しようと考えたのだ。今こうやって記事を書いているのも同様の理由からである。

ただしこの条件はもし途中でギブアップしたり未完成で挫折したりすると、全世界に「バーチャルけもみみYoutuberになるのは難しい」というよろしくないメッセージを発信してしまうことになる。


万が一にも
そのようなけもみみ帝国の野望を阻むような真似は
ファンとして絶対に許されるものではない。

 

そんな物凄いプレッシャーを勝手に背負い込み、ガッチガチに緊張してスタートダッシュは完全に失敗した。


キャラクターデザイン~モデリング

かくしてタイムアタックが始まったが、いきなりキャラクターをモデリングしようと思ってもデザイン画があるわけではない。

モデリングの前に、キャラクターのデザイン画を描かなければならない。

この行程の使用ソフトはAdobe Flash CS4を選んだ。

CLIP STUDIOにも線対称定規なんて言う便利なものがあったりするが、実はFlashというのはベクターで絵が描けるツールとしては絵を描くストレスが極めて少なく、簡単な三面図や図面ラフ等を起こすのにはもってこいなのだ。バージョンがCS4なのは単に私の趣味である。

 

左右対称に絵を描くため右半身だけをシンボル化、シンボルを左右反転して対称にステージ上に配置する。こうすると右側をいじればリアルタイムに左側も編集される。

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で、上記のこの下絵ができるまでに開始から47分。ガッチガチに緊張しすぎにもほどがあるスロースターターぶりである。
とりあえず、キャラはネコミミ(最重要)、体のバランスは大体こんなもん、という以上の情報は無い、あんまりにもな下絵ではあるがこの工程に時間をかけすぎると、あとの工程に進めないので、ここで下絵作業を終了とした。

本来なら、側面図だとか、服装だとかが最低限必要な情報なのだが、はるか昔に習って赤点だった人体デッサンを駆使すれば詰将棋的に側面図を導き出せるので何とか大丈夫、体さえできれば服はそれに形を添わせれば側面がなくてもある程度は大丈夫、服のデザインは過去に自分が描いた落書きから流用すれば大丈夫…と、とにかくスピード&最小手数を重視し、強引に割り切った。

 

3DソフトBlenderについて

3DソフトはBlenderを使った。こちらもねこますさんが推しているソフトである。

全ての機能を把握しているわけではないが、ある程度使いこんでいるし、3Dの仕事をしていない今現在、高価なソフトのライセンスとかは更新してなかったのでこれ一本で作ることにした。Blenderオープンソースで無料ダウンロードできる。

 

この記事を読んで自分もやってみようと思った人はぜひダウンロードしてほしい。

 

インターフェイスを完全日本語化できるほか、MMD文化の発展以後、日本国内ではゲーム業界で一般的に使われているAutodesk社製ソフト等高級なソフトよりも、有志による日本語のチュートリアルやブロマガなどを通じての技術情報交換コミュニティが充実しているため、独学であっても比較的技術習得しやすい、入門者向けのソフトと言える。

 

ただし、Blenderがタダだからと言って、3Dモデラーに発注額を値引きしてもらえるという話では全くないということだけ、どうかご留意願いたい。専門学校などで使い方を教えているソフトではないので、技術情報はモデラーの独学に頼らざるを得なく、また人材確保も難しい。結果として学習コストと人件費で逆にコストが高くなるということも十分にあり得る。ていうか、よくある。

こうした話をしないといけないのは、過去に仕事でこういった打診を受けたことがあるからだ。とはいえ、これは世知辛い案件というよりもクライアントの側がよく勉強してくださっていた事例である。

発注者は少しでも安く、かつお互いに納得できる形で発注する方法が無いか、受注者と検討しながら発注を進めるのが仕事だし、この事例での発注者の打診は、それを逸脱するものではない。世知辛くない!

受注者は業務上の努力だけでは実現できないような値引きを相手がその自覚無く要求してきた場合には、どうしてそれが無理であるのか、きちんと説明して納得してもらう業務上の責任がある。

世知辛くない!

 

若干話がわき道にそれてしまったが、近頃Blenderは安い、という言説だけが独り歩きをし始めているので、一応、誤解を生まないようにだけ、説明させていただいた。 

Blenderは個人で扱う分には高価なソフトに負けないほど優れたソフトだが、産業ユースにはまだ一歩及んでいないといったところだと、個人的には思っている。

ここについては、Blenderを産業ユースできる体制を作っていこうと奮闘している方々もいらっしゃるので、そうした運動の今後に期待するほかないところである。

 

モデリング開始~胴体完成

閑話休題


このあたりの作業に入ると、ようやく配信開始からずっと感じていた重圧にも慣れてきて武者震いが止まり始める。

スタート時の立方体を、ミラーモディファイアで左右対称編集し、かまぼこ板形状を面割して体の形に作り替えていく。

調子が出てきたのか、開始から1時間20分頃。胴体部の裸体が完成する。

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下絵完成から30分と言うと早いような気もするが…この時点で出来上がっている部分はほぼ完全に衣装に隠れるため、あとで削除しなければならない部分でもある。ある意味、胴体部の3面図を起こすのにここまでかかったと言い換えてもいいかもしれない。

そうした事情もあって、普段なら考えられないほどの突貫工事的なトポロジーである。

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後で服を作る工程を考えて、このメッシュをベースに服を作れるように面を割ってある。(画像は作業途中で別名保存したデータからサルベージして出力)

 

顔の作成

配信開始から3時間が経過

顔のモデリングを開始。顔のモデリングにはUV投影モディファイアを使った。
ここで、UV投影モディファイアの使いかたを度忘れして1時間以上のタイムロスが出た。かなりのグダグダ展開である。

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 このUV投影モディファイア、昔懐かし並行投影マッピングの一種なのだが、軸並行以外にも投影できるのはもちろん、適用するとそのままUVに変換できるので、UV展開を省力化することもできる(これは今回の制作を通して気が付いた)便利なやつである。

 

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何より、ポリゴンを編集しても投影される絵を変形しないで済む為、顔の完成イメージ画を張ったままガシガシポリゴン編集できるのが魅力。

 

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しかし、正面からの並行投影だけでは、側面が伸び切ってしまい、輪郭の形がとりづらくもなる。今回は別途輪郭線を削除した画像を用意し、そちらに差し替えることで対応した。

今回はクオリティをかなり割り切り、完成を最優先としたタイムアタックであったので、実のところ輪郭の形状なんかは結構悔いが残っている。

こうした作業手順上、どうしても弱くなってしまう部分については、もう少しじっくり作りこみをしても良かったかもしれない。これは今後の課題と言える。

 

5時間20分経過

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顔が完成。この時点でまつ毛と瞳は別オブジェクトとした。
やはり、輪郭の作りこみの甘さは気になるし、せっかくのVRなのだから瞳についてはちゃんとのぞき込めるように作りこみを、などと欲が出そうになったが、とりあえず、いったんは完成を最優先とした。

やらなければ、はじまらない。そして、はじまってもいないのに、やりこむべきでないのだ。

 

髪の毛の作成

顔が出来たら髪の毛を制作する。アニメ調のキャラの場合、髪の毛の形状がキャラクターに付与する印象の比重は大きい。

作業手順としては、後ろ頭を閉じ、閉じた部分を複製しヘルメット状の別オブジェクトにした後、ポリゴンを押し出すという速度と効率重視の作業手順を選んだ。

ここでもUV投影モディファイアが非常に役に立った。
ここまで、クオリティに関しては色々とかなぐり捨ててきたが前髪の一部だけでも左右非対称にしたい、という点だけは譲らないことにした。

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配信開始から6時間50分

ついに年が明けた…。

 

どこからかうわさを聞きつけてやってきた人がYoutubeLiveのチャット欄で新年を祝ってくれた。ここまで数時間、それはYoutuberの寂しい壁を乗り越えてやってきた心が洗われるような瞬間でもあった。

 

だが、それでも、私の2018年は、やらなければ、はじまらない…。

 

やり遂げなければ始まらないのだ…!

 

 

 

さて、ポリゴンの裏表というものについて、ご存じだろうか?

3Dモデルやゲームの制作未経験者にはなじみのない話かもしれないが、実はポリゴンには裏表の概念が存在する。
大抵の場合、表側からはポリゴンが見えるが、裏側からはポリゴンが見えない。ゲームなどでキャラクターやオブジェクトの中にカメラがめり込んだ時、外が透けて見えるのはこのためである。

何故こんな話をいきなり始めたかと言うと、つまり、少しでも見える恐れがある部分はたとえ服の裏側だろうが髪の裏側だろうが、そこにも面を作らなければならない、という現実があるのである。

 

ここから、たっぷり4時間半。ひたすら髪の毛とその裏側を作る地味な作業が続く。

朝4時。開始から約11時間、ついに頭部が完成した。

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上半身の作成とポリゴン数

さて、この時点でポリゴン数は8300超。上限が2万であることを考えると服ができる前から41%を消費してしまった計算になる。

ポリゴン数というのは増やした後で、減らす方法が無いわけでもない。
Blenderのポリゴン数削減モディファイアは機械の仕事とは思えないほど優秀だ。しかし、それでもやはり、二度手間ではあるのだ。

 

 

実はこの挑戦にはタイムリミットがあった。年末に大量のイラストを納品した以上、年明けにはその確認作業や諸業務の問い合わせに対応しないわけにはいかなくなる。

 

 

正月の三が日で完成させなければ、次のデスマーチに突入し、モデルが完成しなくなる恐れすらあるのだ。

 

 

この状況下では可能な限り、一発で2万ポリ以内に収めたい。経験則に基づくおよそ2万ポリのポリゴン密度というのを意識してここまで手順を組み立ててきたが、さすがに不安に駆られ、キーボード脇に置いてあるメモ用紙にあやしげな筆算を書きなぐりおおよその予想ポリゴン数を求める。

 

よし、

 

ギリ、いける!!

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14時間経過!!

ポリゴン数と手順が見えればあとは簡単だ、何せ胴体部は初めから服を作ることを想定して作ってある。服なんてもう半分以上出来上がっているも同然なのだ!!

見える!
私にも工数が見えるぞ!!!

 

時刻は1月1日の朝7時半、外では初日の出帰りの楽しそうな声。

しかし、ガンギマリトランス状態の私には一切関係なかった!

上半身の服が出来上がるころにはモデリング全体の総工数が完全に見えていた。
アムロ、時が見えるわ!と言わんばかりにブラックワークで鍛えた工数把握能力が光る宇宙!
間違いなくあと6時間でモデリングが完了する!!!

 

 

 

 

…6時間 ?

 

 

 

 

 

モデリング完了までに計20時間!?

 

 

だめだ…

 

このプロジェクトは正月三が日の間には完成しない…!!

 

 

挫折と屈辱の撤退戦

 

一般的に、3Dキャラクター制作と言うとポリゴンをいじって形を作る、いわゆる「モデリング」作業のイメージではあると思う。
しかし、実際のところ、「モデリング」の工程はキャラクター制作全体のほんの一部でしかない。

今回はタイムアタックなのでいくつかの工程をかなり強引に端折っているが、おおまかには下記のような総工程が必要である。

 

デザイン画の作成
  ↓
三面図の作成
  ↓
モデリング ←いまここ
  ↓
UV展開
  ↓
テクスチャ作成
  ↓
ボーン作成
  ↓
ウェイトのセッティング
  ↓
Unity上でのセットアップ

通常、ゲームキャラクターの制作において、モデリングは全体の総工数の20~40%程度と言われる。

ちなみに、これは一般的に制作する部署が違っているキャラクターのデザインを度外視した工数の見積もりである。つまり、モデリング以後の工程だけで勘定しても、およそモデリングの占める割合は3割に満たないことがあり得るという話なのである。


もちろん、これに表情や口パクを付けようと思ったら、ここからさらに、フェイシャルモーフだとかアニメーションだとかリグセッティングだとかいろいろな作業が必要になり工数はどんどん上がっていくのだが、今回は、とにかくVRChatを始める事を目標とし、口パクだとか表情だとかは後々のやりこみ要素として割り切ることにしているので、いったんこれを目安に話を進める。

つまり、モデリングが終わっている時点で経過時間の3倍程度がおよその総必要時間とみなすことができる。

 

愛と努力と根性と割り切りで、これをどんなに縮めたとして、

この時点で総工程が40時間を切れないことは明らかとなりつつあった…。

 

この企画、RTAとして始めたものであっただけあり、この事実は私の精神に重くのしかかってきていた。

いくら正月休みとはいえ、新年、何もしないで良いわけではない。1月2日にはどうしても外すことができない用事があり、その時間までにアバター制作が完了しないとするならば、現実世界での経過時間を測るRTAとしては成立しなくなる。

それでも時間を測って完成を目指すならば、プレイ(作業)時間を測るタイムアタックに切り替えねばならない。

さらにその場合、1月2日、用事を済ませた後で作業に戻る体力が残っているかという問題もある。後半の作業、UV展開やウェイト設定はBlender上での作業経験が少ない。どんなエラーが発生するかも予想できない、ヘトヘトの状態でそれらに向き合い続けることができるだろうか…。

 

RTAとしてはじめたことを、途中で総作業時間の計測に切り替えることは、恥だ。

 

そんな声が脳裏によぎった後、そもそも、何故、自分が正月休みを返上してこんな過酷なチャレンジをしているのかと振り返る。

技術をいじり倒すことの楽しさを再確認し、人に伝えるため、けもみみを広めるため、

輝くバーチャルのじゃロリ狐娘youtuberおじさんの光に焦がれ、自らの技術力の低さ、タイムアタックゆえのクオリティの低さ、それ以前の色々な恥を承知で配信を始めたのではなかったか。

かつてブラックワークで倒れたのも、恥だ。

いまおじさんの追っかけをやってるおじさんであるというのも、ある意味、恥だ。

私は2017年最後の恥をかくために配信を始めたのだ!

 


なんとしても、三が日の間に、アバターを完成させなければならない…

 

リスクは、冒せない…

 

 

朝7時半、総作業時間14時間。

屈辱ではあるが、ここで1月2日の予定の時間までに終わらないことが判明したのでRTAを断念。どうせRTAとして成立しないのだから、自分がベストパフォーマンスを発揮できた方が良いということで3時間程度のインターバルを挟んでの再開とすることにしたのだった。

 

モデリングの完成

デスマーチや〆切というのは人類最大の発明の一つである。
これらに追われながら生きるとアドレナリンやエンドルフィンがドバドバ出てその中毒性に比べたらストロングゼロなんざかわいいものである。

私は心拍数を160台にキープしたまま気絶するように眠りに落ち、きっかり3時間後起床、依然動悸は激しくウォームアップは済んでいる。起床から15秒でパソコン前に着席し、配信を再開した。デスマーチ中毒患者だけが特権的に味わえるすがすがしいアドレナリンの朝だ。決してマネしないでいただきたい。

 

でぇ(無駄なのじゃおじリスペクト)

 

起床直後の体力があるうちに1時間強で一気に手をモデリングし、その勢いに乗ってコルセット、スカートを作る。

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18時間経過

衣類は完成し、靴やボタン、リボン等の小物類の制作に入る。

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20時間経過

こうして、予定通り、約20時間でほぼすべてのモデリング工程を終了することができたのだった。

 

地獄のUV編集

ここで大事件が起きた。なんと。Blenderは2.7系からUV編集周りに大きなアップデートがあって、思ったようにUV編集できないのだ。

ただでさえ、UV編集がしやすいソフトなんてのはこの世に無いというのに、Vキーを押すと知らない挙動をする。おまけに、普段Blenderはマンガ用のアタリにモデルを使えれば十分、といった使い方をしていたため、BlenderでのガチUV展開は2,3年ぶりであった。

UV編集画面上で同じ位置に頂点を移動したいときには「w」キーで「溶接」、切り離したいときには「吸着選択モードの無効化」、これがわかるまでだけでも数時間がかかった。

テクスチャはSAI2で描いた。左右対称に描かないといけないものはphotoshopCS5に持ち込んでスマートオブジェクト化、反転して配置するという方法でワークフローを整備した。バージョンがCS5なのは単に私の趣味である。

顔回りのUV&テクスチャがおおよそ出来上がったのは4時間後だった。

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24時間経過。顔、テクスチャおおよそ完成。

ちなみに、蝶ネクタイと鈴はのじゃおじリスペクトなのですが、あとでよく見たら形がだいぶ違いましたorz

そしてここからひたすら各パーツのUVを開いていく。丸一日ひたすら使い勝手のわからないUVエディタと格闘し、元日は過ぎていった。

……。


UV展開とはテクスチャを張るために、3Dモデルを2Dの展開図に戻す作業である。
もちろん、ある程度は機械がやってくれるが、かなりの部分を手動で、頂点を選択しては地道に並べる、という地味―な作業を延々としなければならない。

この時点で、約1万7000ポリゴンの頂点を、である。

 

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……。

 


1月2日、朝5時。

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31時間経過。
見た目は何ら変わらないけれど、内部的にはUV展開が7割がた済んだファイルがそこにあった。後半はさすがにUVエディタの使い方がわかってきてスムーズに進んだ。

何事も体当たりで挑めば何とかなるものである。

 

とはいえど、このUV編集の工程で挫折しちゃう3Dモデラーって結構多いんじゃなかろうかと思ったりする。入門本とかでもこれ以後の工程はさらっと流されちゃうし、私みたいに苦戦する人を少しでも減らす意味でも。どこかに分かりやすくまとめておきたいなあと思ったり思わなかったり…

 

本来なら、テクスチャが過度に伸びたりしないようにチェックしたり、色々な工程があるのだが、今回はそういうクオリティ面はいったんかなぐり捨てて完成を優先した。

ちなみに、髪の毛は三毛猫っぽくしたかったので、普通のテクスチャを作った後、レイヤーマスクを適用した色調補正レイヤーで髪の色を部分的に変更した。

CG特有の左右対称の印象というのが少しでも和らげばいいなー、という感じである。

 

流石にこの日は用事があったので、また仮眠をとり、3時間後アドレナリンの朝を迎える。用事まで多少時間があったので、約2時間、UV展開の続きをして終わった。

 

1月2日の夜遅くになってやっと用事が終わったので、配信と制作を再開することも考えたが、ここはきっちりと睡眠をとって、1月3日の最終日、背水の陣で挑むことにした。

 

怒涛の最終日

とか言いながら、3時間ちょっとですがすがしいアドレナリンの朝を迎えるデスマ中毒患者が私です。へけっ

かくして1月3日、朝10時35分。最終日。最後の配信が始まった。

 

経過時間は33時間。

 

この時点で
いくつかのUVの展開、
全身のテクスチャ作成とボーンの設定、
VRChatの仕様を学習する事、
Unity上での変換作業

…などが丸々残っている。

 

 

…よっしゃ、イケる!

 

もう何がいけるのかさっぱりわからないがそう絶叫し、Blenderにかじりついた。

もはや時や光る宇宙はおろか、何の工数も見えていない、目の前のポリゴンすら見えているか怪しいものである。

なにか見えているものがあるとするならば、それはけもみみ帝国。けもみみ帝国が築かれる輝かしい未来への盲信。私は帝国の礎になれるのなら喜んで恥をかき捨て散っていこう!そう、やらなければ、はじまらない、それを盲信することこそが猛進なのだ!!

 

一応、腐っても絵描きだけあって、テクスチャを描く作業はそう苦でもない。細かな作り忘れのパーツやらを作りながら、10時間で一気にすべてのテクスチャを書き上げる。

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43時間経過。全テクスチャが完成!

左右、目の色が違う三毛猫は縁起ものだそうで、それにあやかる感じでテクスチャリング。髪の毛の外っパネはネコのヒゲをイメージしました。

 

夜もとっぷり暮れて時刻は21時、ここから、ボーンウェイト設定に入る。

 

ボーンの設定

ボーンの仕様というものは複雑怪奇にして大変面倒なもの、やれ命名書式だ回転軸の基準軸だローカルとグローバルの座標の扱いだ頂点毎に割り当てられるボーン数の上限だ…と、色々あって面倒くさいことこの上ない。ボーン構造をフルスクラッチする場合、これだけで数日かかったとしても怒られない程度には面倒くさいのである。

 

が、大変ありがたいことに、BlenderにはUnityに一発で持っていけるボーンが既に用意されている。

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nn-hokuson.hatenablog.com

とはいえ、これを埋め込んだ後、自動でついたウェイト設定はかなりハチャメチャで、少し関節を動かすたびに服の裏面やらどこか遠くのオブジェクトやらがついてくる。

時間的にも追い込まれ、終わりの見えないこのウェイトの修正作業。

 

ここで、1月2日に投稿されたけもみみVRチャンネルの新着通知が入る。

新年、あけましておめでとうございますのじゃ【012】 - YouTube

 

うおおお!!!新着動画が観てえええええ!!!!くっそがああああああああっ!!

絶叫。

もはや、VRChatにアバターがたどり着くよりも先にけもみみチャンネル動画を観ようなど笑止千万。動画再生画面越しとはいえのじゃおじに合わせる顔がないというものである。

 

5~6割程度の完成度に達して、最低限、腕は腕、足は足、頭は頭と別々に動かせるところに来るまで体感では7,8時間やっていたように思うのだが、今タイムレコードと照らし合わせて確認する限り、3時間程度で切り上げていたようだ。

今回のモデルは服の裏表など、結構色々と作りこんである為にウェイト設定が複雑にならざるを得なかったが、このあたりの工数は正直モデルやどこまで作りこむかによるところが大きい。

もし、この記事を読んで自分もやってみたいと思ったCG初心者がいたならば、まず、簡単なモデルでウェイト設定だけでも弄ってみるとよいと思う。どんなモデルのウェイト設定が大変で、どういうものが簡単なのか、多少見えてくるものがあるはずである。

 

無限に広がるUnityの地平線

1月3日が終わった。時刻は1月4日の0:30分。

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作業開始から実に46時間30分ついにけもみみアバターはUnityの地平に降り立った。

昨年末からこもりきりで、数日振りに見る青空がバーチャルなものであるとは思わなかったが、Unityの世界に広がる雲一つない青空は心に染み入った。ドライアイで失ったはずの涙が頬を伝った。

 

私は、Unity上での作業経験はほとんどない。

しかし、ここでの手順は有志によるwikiに解りやすく丁寧にまとめてあった。

vrchatjp.playing.wiki

 

また配信中、さぎょいぷで私を励ましてくれたdolphin氏が先んじてねこますさんのみここアバターをVRChatに読み込んでテストしてくれていたこともあり、これにも助けられ、全く迷うことがなかった。

有志wikiのスクショもねこますさん制作によるアバターで、もはやねこますさんにVRChatに導かれているかのような錯覚を起こすほど、スムーズに事は進んだ。

(後日、このブログ記事を発表するにあたり、のじゃおじことねこますさんに事前確認メールを送った所、このwikiの多くの部分をねこますさんが書いてくださっていたとのことでした!)

 

この段になってようやく、VRChatとVRChatのSDKをダウンロードし、アカウントを作った。

ゴールが見えてくるとVR環境を持っていないことがただただ悔やまれたが、とにかくやらねば始まらないのだから、自分なりにやり遂げて、はじめてからその辺りの事を考えればいいのである。

 

ポリゴン総数は1万8874。ギリギリのドンピシャ、チキンレースに勝った気分だ。

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おっと。

エラーである。どうやら身長が高すぎたらしい。考えてみたらここまでキャラクターのスケールについて何も考えてこなかった。ダメ元でUnity上でのスケールを小さくし再出力。今度は書き出しができた。自動でVRChat上にアップロードされる。

 

 

「…あれ!?アバターが表示されないぞ!?」

 

焦るのもつかの間、遥か下方に小さくキャラクターと思しきものが表示されていることに気が付く。

先程スケールを小さくした際に視点の高さをそちらに合わせるのを忘れたのだ。

修正して再試行!

 

そして…

 

 


終わりなきはじまり

1月4日1:30分。作業累計時間47時間30分

 ついに、挑戦は完遂された!

流石にVRChatにアップロードして以降は、配信すると他人や他人のアバターが映り込んでしまう恐れがあるため配信ができなかったが、

 

全作業行程を配信し、

けもみみアバター

作り上げることに成功した!!

 

降り立ったVRChatの大地にゴールテープが用意されているわけでも、万雷の拍手が鳴っているわけでもない、ただ走り回るUnityちゃんとY語を叫んでいる外人さんばかりのいる空間だ。

 

だが、それでも、それでもここが、私がずっとたどり着きたかったゴールなのだ…

 

 

……。

 

 

 

 

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『いや…』

 

VRChat世界の鏡を前に私は独り言ちた。

 

『…ここはゴールではない。』

 

私はタイムアタックこそやり遂げたが、
それはあくまでもやるべきことをやったに過ぎない。

 

 

そう、これをやらなければ…

 

 

このアバター制作をやらなければ…

 

 

 

 

 

通りかかった外国人が、
「ねえ!それ何のアニメのキャラ!?Kawaii!」

と英語で声をかけてきた。

それが私がVR世界で受けた、はじめての挨拶であり、激励だった。

 

かわいい?

冗談じゃねーぞ、

 

これでもクオリティを置き去りにして作ったアバターだ。

 

 

私の本気のKawaiiはこんなもんじゃない!!!!

 

 

 

 

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そう、ここからが、はじまりなのだ…!

 

 

 

 

 

 

 

<完>

 

<つづく…?>

 

 

4.あとがきにかえて

 と、言うことで、あらゆるウェブライターが体を張って何かに挑戦し、面白い記事を書く新春のこの時期に、負けず劣らず体を張っているにもかかわらず、そのことが全く伝わらない面白いのかもよくわからない記事を長々と書かせていただきました。

もし、ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます。

もうちょっとだけ続くんじゃ…

 

タイムアタックを通して得たもの

正直、最初は何も得るものがなくてもいいじゃないか、

のじゃおじファンなんだから、けもみみアバターを世に1つくらい増やしたっていいじゃないかくらいのつもりで始めたチャレンジでしたが、思いのほか得るものが多かったです。

普段趣味でBlender弄る程度ではなかなかキャラクターを1から10まで作り上げることはないし、仕事なら案件にもよりますが、分業化が進んでいるために、全部自分で面倒を見て、というのは無いように思います。

知らないBlenderの機能や技術をどんどん獲得できたのはものすごく大きかったです。

前のめりに体当たりで動き出せば、色々とえるものは大きいのだなぁ、と痛感いたしました。

あと、敢えて恥をかき捨てに行く姿勢。マジ大事。

 

それと、今回の挑戦を通してもっとBlenderやUnityの事を勉強したくなりました。

小学生の社会見学感想文みたいな言い回しだけど、マジです。
この歳になると学習意欲というのはなかなか手に入らないものなので、これが得られたというのは非常に大きなことだと感じました。

 

結局、バーチャルyoutuberのアバターってどれ位コストがかかるの?

御覧の通り48時間で最低限の棒立ちまではできるようになります。私はこれを実質三が日で終わらせましたが、これは一般的な会社員の1週間分の勤務時間+残業ちょっとの作業時間に相当しますので、見積もりを立てるとなると結構なコスト感になることがお分かりいただけるんじゃないかと思います。

しかも本来はここから、何度も動作チェックとウェイト調整を繰り返すなどしてミスを修正していったり、表情を仕込むための複雑な作業をこなしたりしないといけません。

 

くれぐれも、無料で作ってよ!とか、5桁で作ってよ!とか、この記事のURLを送り付けて2日で作って!とか他人に要求しないようにしてください。世知辛くない世の中をみんなで目指しましょう!

 

ただ、逆に言えば、趣味でやる分には土日にちょいちょい作業するだけでも1か月あればとりあえず動くところまでは作れるということになりますし、私のように、体を張れば2、3日で上がるかもしれません。オススメはしないけど。

裸素体をどこかからか買ったりもらったりしてくるなど、やりようによっては工数の短縮は出来るものと思います。

この記事を通して、商品としてはなかなか安くはならないけれど、新しく始める趣味としては意外と手軽に始められるものなのだということが少しでも伝わればと思います。

あなたもぜひ、けもみみアバターを作ってVRChatに参入してください!

 

反省点

セブンイレブン縛りは無謀だった。最寄りのセブン、深夜帯の品ぞろえが悪くて死ぬかと思った。おにぎり全然なかった。なんであんなにポテチの変な味ばかりそろえてるの…珍ポテチ博物館なの?

チャレンジこそやり遂げたもののモデルは全体的にバランスが良くないし、やはり悔いは残る。

あとyoutubeliveが8時間を超えると後から再生できないことがあるという仕様を知らず、企画終了後にスクリーンショットを撮れなかった部分がたくさんあったのも痛かった。

正直、無謀とは知りつつも、今回のチャレンジを通してより効率的な手順や全体の工数、機能の扱いをいくつも学んだので、次こそは総作業時間のタイムアタックではなく、RTAに挑みたい。いや、マジで。

 

終わりに

最後に、絶対に言っておかないといけない話。

冒頭の通り、私は一昨年末、過労で倒れ以来、3DCGから遠ざかっておりました。

子供のころから好きだった3DCGの道からのドロップアウト。それはそれは、悔いの残る1年を過ごしていた2017年でしたが、今回のチャレンジを通して、それを払拭できたように感じます。

 

 冗談みたいな話ですが、私は本当にねこますさんの技術に前のめりな姿勢に救われたのです。

この場を借りて、改めてお礼を申し上げさせていただきます。あと謝らせてください。
勝手にお祭りに便乗するストーカー気質でごめんなさい。

ねこますさん!
本当にありがとうございました!!

 

www.youtube.com

 

5.おまけ

恥のかき捨てついでに、今回タイムアタック中に作ったモデルをそのまま配布しておきます。何かの参考になれば幸い…。
出来の悪さについては言わないでね><

 

けもみみアバタータイムアタック - Google ドライブ